【勉強法】数学学習の 3 ステップ

数学専門オンライン家庭教師「マスゼミ」塾長の林です!

この記事では,数学を学習するときにどういうステップが必要なのか述べていきます。
※主に高校生を対象にしています。

今回は,数学学習を以下の 3 つのステップに分けて考えてみましょう:

  1. 問題を解く最低限の力を養う段階
  2. 入試問題を突破する力を養う段階
  3. 入試問題の枠を超え,発展的な内容を学ぶ段階

前から順番に考えていきましょう。

目次

ステップ1:問題を解く最低限の力を養う段階

まずは第一ステップ。
「普通の」問題を解くための力を身に付ける必要があります。

定理や公式の導出はちゃんと身につける

数学の受験勉強をするにあたり,初めは教科書や参考書を読んで,その後に問題演習をする,というスタイルが普通でしょう。
私もだいたいそんな感じでした。    

教科書や参考書を読むときも,いくつかコツがあります。

定理や公式は,かならずその証明も身につける,というのが一つ目のコツです。

受験数学ではいろいろな定理・公式が現れます。
三平方の定理のような簡単なものから平均値の定理のような(実は)難しいものまで,分野もさまざまです。
そうした定理や公式は当然ながら入試でも必要とされますし,皆さんの学校の定期試験でもそれにまつわる問題が必ず出題されることでしょう。
勉強時間に余裕が無いときなどは特に,そうした定理の数式だけを頭に無理やり叩き込みたくなるものです。
実際,そのほうが目先のテストでは点数が少しは上がるかもしれません。

しかし,今までもたくさんお話したように,定理や公式は導出も含めて身につけないと何の意味もありません。
目先の試験で点を取れることと,大学入試で点を取れることは別物です。
言うまでもないことですが,大学入試の数学は難しいです。
東大をはじめとする難関大学を目指すのであればなおさらです。

難しいというのは,小難しい計算が出題されるという意味ではなく,思考の過程が平易ではない,ということです。
当然,教科書に載っている定理を使ってすぐに答えが出るようなものではありません。
長い過程の中で,自分が知っている定理や公式,その他知識をフル活用してようやく答えにたどり着く,という感じです。
そのため,ただ定理を丸暗記しているだけだと全く太刀打ちできません。
「どこでこの定理を使えばいいの?」と困りきってしまい,それまでです。

抽象的な話になってしまいますが,東大入試では,自分が知っていることをどう活用していくかがカギになります。
どれほど多くの知識があるか,なんていうことははっきり言ってどうでもよいのです。    
定理や公式の証明を学ぶことで,それを証明する「思考の過程」を追体験することができます。
たとえば三平方の定理だったら,普通は計算できなさそうな斜めの線分の長さを計算できるようにする工夫が理解できるのです。
こうした思考の過程は,実際に入試問題を解く際に絶対に重要になります。

また,定理の結果のみを学んでそれを振り回しているだけだと,その定理をどういう問題で用いればよいのか,あるいは使用する際の条件はなにか,などが分からなくなっています。
しかし導出もちゃんと学べば,その定理の成立背景を理解できるため,どんな時でも正しく定理を用いることができるのです。
証明を学ぶのは時間の無駄だ,と思っていたとしたら,その考えはすぐに改めてください。
長い目で見れば,証明もしっかり身に付けたほうが絶対に得ですし,結果としてそのほうが合格への近道になります。

証明を学ぶには

では,証明を学ぶにはどうすればよいのでしょうか。

初めて見た定理を,いきなり補助なしで証明するのはものすごく大変なことです。
数学が得意な人ならまだなんとかなるのかもしれませんが,苦手な人・嫌いな人にとってそれは苦痛でしかないでしょう。
もちろん,補助なしで自分一人の力で証明するのは大変重要なことでそれも欠かせないのですが,そればかりやっていると精神的にツラいですし,数学がより嫌いになってしまいます。

ですから初めのうちは,教科書に書いてある証明をよく読んで,それを丸写ししてみるのも悪くないのではないか,と私は思うのです。
ノートなどに,自分では思いつかなかった証明等を写してみるのです。
ただ,この写すという作業は,証明そのものの丸暗記を目的としているのではありません。
あくまで,どういう流れでその証明ができるのかを感じ取ってもらうのが狙いです。

今まで何度も書いてきたことですが,目で文字を追っているだけだと頭に入りにくいので,実際に手で書いてみよう,という程度の話です。
ですから,教科書や参考書に書いてある証明の一言一句を暗記しよう,などとは間違っても思わないでください。
もし証明の暗記に走ってしまうおそれがあるなら,あえて細かい言葉遣いを自分なりに変えてみるのも良いと思います。    

二つ目のコツは,その定理や公式がどういう意味を持っているのか,抽象的にまとめてみる,ということです。
たとえば三平方の定理だったら,「水平な長さと鉛直の長さから,斜めの長さを求めることができる」といった風にまとめることができますね。
他にも,余弦定理は「二辺とその間の角が分かれば,残りの一辺の長さが分かる」というように整理できます。
こうすることで,どういう時に定理を使えば良いのかが明確になり,試験のときでも適切に利用することができます。
こうした努力をしないと,その定理がもつ意味が不明瞭のままとなり,簡単な問題は解けても複雑な問題はさっぱり,ということになりかねません。
自分の言葉で意味をまとめて,それを教科書や参考書の該当ページに書き込んでみると,あとで読み返したときに大変便利です。

基礎的な問題演習のしかた

教科書や参考書を読んだ後,多くの人は問題演習をしてみるはずです。
たとえば教科書だったら,まず解説付きの例題があって,その下に「練習問題」的なものがあるはずです。
そういったものを解くときのコツについてお話しします。

もちろん人によりいろいろなスタイルがあると思うのですが,ここでは私がおすすめするやり方を取り上げます。    

例題を読んで勉強した後,しばらく時間をおいてから,例題を見ないで(隠して)練習問題を解いてみましょう。
いきなり補助輪無しです。
頑張って例題で学んだことを思い出して,うまく活用してみるのです。

しばらく時間をおくのが大事で,例題を読んだ直後に練習問題を解いてしまうと,例題の内容がまだ頭に残ってしまっているので,その解答をそのまま流用できてしまうからです。
それは解答を暗記していたおかげで解けただけであり,その問題を本当に理解していることにはなりません。
ある程度時間が経ってから問題を解いてみることで,重要なポイントが頭に入っているか否かを確認することができるのです。

ただ,いきなり例題を見ない,つまりノーヒントの状態で解くのは簡単なことではありません。
時にはわからないこともあるでしょう。
しばらく一人で考えても全く分からなかったら,今度は例題を見てみます。
例題の内容をうまく活用して,頑張って答案を書いてみるのです。
それもできなければ,解答を見ても良いですし,先生や友達に聞いてみるのもアリでしょう。

ただ,ノーヒントで解けなかった問題にはマークをつけておいて,後日またノーヒントで解けるか試してみるのです。
これも「後日」やるのが重要で,直後に解き直すのは解答の内容を覚えている状態なので無意味です。
こうして,何日もかけて,解けない問題をどんどん減らしていきます。短時間ですべて片付けようとしても,残念ながらうまくいきません。
解答を暗記していない状態で解いてみるのが大切ですから,これは忘れないようにしてください。

難しめの問題にチャレンジ

教科書の練習問題レベルができるようになったら,次はやや難しめの演習問題に取り組むのが自然ですよね(以下単に「演習問題」と呼ぶことにします)。
たとえば教科書の章末にある章末問題などです。
難易度が上がるというのはどういうことかというと,計算が難しくなるというわけではなく,自分の知識を活用する方法が難しくなる,ということです。

たとえば微分だったら,「次の関数を微分せよ。」という問題よりも「次の関数の極値を求めよ。」という問題のほうが高度で難しい,というのは皆さんもお分かりだと思います。
微分せよといわれたらそのまま微分すればいいだけなので楽ですが,「極値を求めよ」と指示されたときは,極値を求めるためには微分をしなければならない,と自分の頭で考えなければならないからです。

このように,数学の問題における難易度とは,「基本的に知識を活用する方法の難しさ」だといえるでしょう。

演習問題の解き方ですが,まずは先ほど同様,何も見ずに挑戦してみましょう。
学習した内容を思い出して自分なりに足掻いてみるのです。
解ける問題もあれば解けない問題もあることでしょう。難しめのレベルの問題を解くにあたり重要なのは,すぐに解答解説を見ない,ということです。

東大入試ほどのレベルになると,当然ながらパッと見で解けることはほとんどありません。
しばらく試行錯誤してようやく「この方法ならいける!」という風に解法にたどり着くのです。
試行錯誤なしにすんなり答えにたどり着けることはなかなかないもので,忍耐力が必要になります。

演習問題を解くとき,解けなかったからといってすぐに解答解説を見てしまうと,自分の頭で試行錯誤する機会が失われてしまいます。
すると,いざ過去問演習や模試受験をしたときに,解けない問題があるとすぐに諦めてしまう癖がついてしまいます。
もちろん,どうしても解けない問題・解けなさそうな問題があったときはそれを飛ばすのも手ですが,あまり早い段階で諦めてしまうと,すこし試行錯誤すれば解ける問題も手放してしまうことになります。
入試問題レベルになると一問あたりにかけられる時間も長いですから,忍耐力を身につけることは大変重要です。

しばらく試行錯誤し,それでも解けなかったら,仕方がないので解答解説を読みましょう。
その時,解説をノートに写してみると良いと思います。
手を動かしたほうがよいのは何度も述べているとおりです。
そして,解けなかった問題は時間をおいてまた解きなおしてみてください。
こうして,解けない問題をどんどん減らしていくのです。

ステップ1のまとめ

一つ目の段階のまとめをします。

まず,教科書に出てくる定理や公式は,結果だけを頭に詰め込むのではなく,その導出まできっちり理解できるようにする。

次に例題をよく読んで,必要に応じてノートに写す。
練習問題を解くときは,まずノーヒントで考え,無理だったら例題を見ながら解く。
例題を見た場合,後日またノーヒントで解きなおす。
演習問題も大体同様で,まずはノーヒント,それでだめなら解答解説を見て,後日また解きなおす。

特に演習問題を解く段階では,試行錯誤する忍耐力を身につけるのが非常に重要なので,すぐに解答解説を見ないでしばらくは自力で足掻く。
その足掻きの時間が長ければ長いほど,後の大きな忍耐力につながります。

ステップ2:入試問題を突破する力を養う段階

基礎的な力がついたら,今度は応用問題や入試レベルの問題にチャレンジしてみましょう。
今回は東大入試を例に説明していきます。

東大数学の入試形式について

まずは東大入試の数学の出題形式について軽く触れたいと思います。

東大の数学は試験時間が150分で大問が6つです。
単純に考えて大問一問あたり25分ということになりますね。
大学入試の数学の中では,大問一つあたりにかけられる時間はこれでも短いほう。
他国立大学,あるいは私立大学医学部の方が大問あたりの時間は長いことが多いです。

何を言いたいのかというと,東大数学では,じっくり考える力のほかにいかに手際よく問題を解決していけるかがカギになっているのです

入試対策というと,真っ先に思いつくのは過去問演習でしょう。
東大受験生ならだれでもご存知でしょうが,「25カ年」という過去問シリーズがあります。
東大の過去問を,科目ごとに二十五年分まとめた過去問集です。私も数学と理科の25か年を使用していました。
収録年数が多いので,過去問演習にうってつけです。

過去問演習って,どうやれば良いの?

どの時期から過去問演習を始めたらいいか,そして何年分やればいいかというのは悩ましいところだと思います。

過去問演習には,大きく分けて次の二通りあります。

  1. 時間を測らないで,一問ずつじっくり解いていくというスタイル
  2. 本番同様に時間を測って大問六つに取り組んでみるというスタイル

これら二つのやり方はどちらがより大事だというものではなく,いずれも大切なものです。

以下,二つのスタイルの使い分けについて説明します。

一問ずつじっくり解いてくスタイルは,苦手分野の克服に向いています。
不得手な問題を,時間を測って取り組むのは大変なことで,解ける見込みも少ないですしなにより精神的に苦痛です。
時間に追われながら解くというのもそれはそれで重要ですが,苦手分野においてそれを実行してもなにもご利益はありません。
こういう時は,時間に制約をかけずにじっくり解いていくのが最も効果的であるように感じます。

東大の過去問は分野にバリエーションがありますし,難易度もさまざまです。
したがって,ある意味東大向けの対策問題集として最も適しているのではないでしょうか。
当然ながらよく練られていますし,悪問・奇問の類も少ないです。
うまく過去問集を使えれば,苦手分野のよい治療薬になることでしょう。
    

第二のスタイル(「本番演習」と呼ぶことにします),つまり同じ年度の問題を本番同様時間を測って解くというスタイルは,入試が近づいて来たらやるといいと思います
効果としては「模試の代わり」という感じでしょうか。
東大数学の出題形式や問題量・時間配分に慣れることができるのが,このスタイルの効果です。
本当のことを言うと,私自身は出題形式にこだわってその対策をするのは好きではないのですが,実際こうした演習は結構効果があります。
とくに時間配分は,練習を重ねればより上手になることでしょう。

注意点としては,あまり多くの年度を本番演習に費やすのは良くないということです。
時間を測っているので,全ての問題を満足がいくまで考えられるとは限りません。
すると消化不良のまま解答解説を見る羽目になり,入試の練習にはなりますが,問題の内容の面で収穫はそこまで期待されないのです。

年に何回か模試もあるわけですから,あまり本番演習ばかりやるのはよくありません。
何事もバランスです。
    

先述の通り,東大の過去問は難易度こそ高いものの,良く練られておりかつ過度に複雑ではないため,演習問題としても格好の材料となります。
受験が近づく前から少しずつ過去問に触れておくと,いい勉強になるのではないでしょうか。
東大とはいえ,高二,あるいは高一でも解ける問題は案外存在するものです。
「東大入試なんて解けるわけないよ」と食わず嫌いせず,時間があるときでいいので少し触れてみてはいかがでしょうか。

以上,過去問演習の話でした。

過去問演習だけが入試対策ではない!

二つ目の段階の第一の手段として過去問演習を挙げました。

東大入試を突破するにあたり,東大の過去問を解いてみるのは当然ながら有効です。
ただ,東大の過去問演習だけが入試対策になるのかというとそんなことはありません。
    

たとえば,他の大学の入試問題に触れてみるのもいいと思います。
なにも国立大学にかぎらず,いろいろな大学のものに触れてみると,それはそれで良い経験になることでしょう。
大学の先生たちが入試問題を作成する際,限られた問題数でいかに効率よく受験生の能力を測るかが重要になります。
そのため入試問題というもの自体が,問題集に載っているような普通の問題よりも分野横断的な量問が多いわけです。
これはなにも東大に限った話ではありません。

問題の難易度に関して言えば,東大と他の国立大,それに私立大医学部などは正直大して変わりません。
むしろ東大より難易度が高い入試問題を出題する大学もたくさん存在します。他大学の過去問などにも,是非触れてみてください。
過去問演習のほかには,難しめの問題集を解くという方法もあります。
私の場合「大学への数学」という月刊誌を毎月買っていました。
この雑誌は通常の問題集よりも難易度がかなり高めで,かつ(後述しますが)入試対策に限らない発展的な記事も数多く存在するので,東大をはじめとする難関大受験生にも向いていますし,受験の数学では飽き足らない,という人にもうってつけです。

模試あれこれ

最後に模試の話をします。いまやいろいろな塾で,大学別の模試というのが実施されています。
東大型の模試も当然ながら数多く行われていますね。
私も高校生のころ受験したものです。

模試は本番同様の出題形式で,時間や配点も東大入試に準じているわけですから,入試の練習としては非常に有効だと思います。
皆さんにも,少なくとも一回は受験することをお勧めします。

意義ある模試にするために,幾つか注意点を述べておきます。

まず,入試の練習をするわけですから,時間配分など「手のつけ方」はよく考えましょう。
入試本番でも,時間内にすんなりすべて解き終わるなんてことはそうそうありません。
ですから限られた時間でいかに多くの成果を上げるか,というのがカギになります。
模試の段階でそういうことを練習しておかないと,本番でもできるようになりませんから,よく心がけるようにしてください。

また,受験した模試は必ずよく復習をしましょう。
自分の弱点を把握するいい機会ですから,出来が悪かった分野・問題については絶対に復習するようにしてください。
模試の解答解説は,一般的な問題集と比べると内容が詳しく,補足等も充実していますから,恰好の学習材料です。

ステップ2のまとめ

東大の過去問演習のほかには他大学の過去問演習,それに難しめの問題集を購入するという方法もある。
また,模試も正しく活用すれば大きな効果が期待できる。

基礎的な数学力が十分に備わって,「よし,これなら第二段階に行けるな」と自分で判断したら,今までに挙げてきたような発展的な演習を行ってみてください。

そうすることで,入試対策は自然と進むことでしょう。

ステップ3:入試問題の枠を超え,発展的な内容を学ぶ段階

多くの受験生にとって,勉強は「大学受験で合格できる程度」で十分。
しかし,もっと高みを目指したい・好きだからもっと勉強したいという気持ちがある人は,さらに先の発展的な内容を学習することをおすすめします。

大学に入っても通用する力

ここまでで何度も述べている通り,入試で合格点を取れるようにすることのみが本書の目的ではありません。
入試にとどまらない学力を身につけることで,大学入試においてもさらなる得点力に結びつきますし,大学以降でも通用する力になります。
第三の段階は,こうした発展的な数学力を身につける方法の話です。

大学受験の最も直接的な対策は,参考書や問題集,それに過去問に取り組むことでしょう。
しかし,それだと(学力的にも,得点的にも)上限が存在します。
入試問題が簡単な大学ならともかく,東大入試レベルになると,いくら問題集をやっても,あるいは過去問演習を網羅しても,得点の伸びには限界があるのです。

東大の先生たちからすれば,大学受験のテクニックを身につけている人よりも,その先のことも見つめている生徒を欲しがっているはずで,入試問題もそうした生徒が良い点を取れるようになっているはずです。
ですからただの「受験勉強」しかしてこなかった人というのは,「その先のこと」が身についていないため,いくら勉強してもあるところより上にはいけないのです。

「入試より先のこと」とは何なのか

では,「その先のこと」とはいったい何なのか,そしてそれを身につけるにはどうすればよいのか,数学に限ってお話しします。

微分を例にあげましょう。

数学の問題集などで微分の章を見てみると,意味がなさそうなただの多項式を微分し,極値を求めたり変曲点を求めたりするわけです。
そうした問題は微分の演習にはなりますが,微分という計算が科学の世界や実社会でどのように利用されているのかは全く分かりません。

極値を求めるというのは,たとえばエネルギー的に最も安定である点(平衡点)を探すことに相当します。
物理現象の終着点は,基本的にエネルギーが極小である点になりますから,微分して極値を求めることでその終着点を知ることができるのです。
こうした応用例を知ることで,皆さんにとって「数学」の印象は大きく変わることでしょう。

今まではただ受験のための一科目に過ぎなかったのが,世の中のいろいろな現象を記述する重要な「言語」へと変貌するはずです。
すると,数学で習得する技術が現実的にどのような意味を持っているのかを知ることができます。

たとえば微分だったら「極値を求めるための手段」でしょうし,積分だったら「面積や体積を求めるための手段」(もちろんこのほかにも意味はありますが)といえます。

数学的技術の意味を知ることは,入試においても有意義ですし入試後も重要です。
入試においては,解法までの道筋を立てやすくなります。
技術の意味を知っておくことで,出題意図が察しやすくなるためです。
東大に限らず入試問題は当然分野横断的ですから,すぐには解法が分からないことが多いです。
そんな中で解法に悩む時間を少なくすることができれば,入試においてかなり有利になりますよ。

また,高校の物理では微分や積分を扱いませんが,大学入試の物理でも微分・積分を用いたほうが簡単である問題はいくらでもあります。
微分や積分の意味を正しく利器していれば,他の科目でも数学を駆使できるため,数学以外の点数も上がること間違いなしです。
入試後においては,大学の勉強の理解がものすごく容易になることが期待されます。たとえば,大学の物理では微分や積分が山のように現れます。
大学受験までで微積分の意味をよく理解しておけば,大学以降,数学以外の科目で微積分が出てきてもへっちゃらです。すんなり内容を理解できることでしょう。

大学受験の枠を超えた発展的な話題を学ぶことの重要性,お分かりいただけたでしょうか。

発展的内容を学ぶには

では,こうした応用を学ぶにはどうすればいいのでしょうか。  

一つは,興味があったら大学以降の教科書を読んでみる,ということです。

高校までの勉強では,数学は数学,物理は物理,化学は化学といったふうにその科目の中だけで完結していましたが,大学以降はそれらの境界線がだんだん薄くなっていき,物理でも数学を用いるし,化学でも物理を用いるし…といったように学問間の関係性が非常に強くなります。
したがって大学以降の教科書を読んでみると,いま自分が学習している内容が,他の学問分野で,あるいは実社会でどのように活用されているのかがよくわかり,幅広い応用性を養うことができます。

たとえば,高校までは存在しない重要な学問分野の一つに「工学」というものがありますね。
工学は,数学や物理,化学などがどのように役立てられているのかを見る恰好の例だと思います。
工学では,大学受験まで,あるいは大学入学後に学んできた様々な知識・技術が駆使され,人間社会を豊かにするもの(建築,機械,ロボットなど)が作られています(いま挙げたものはほんの一例ですが)。
工学に関係する教科書を読むことで,「あ,こんなところにも数学が使われているんだ!」ということが分かります。
応用性の養成にもつながりますし,今後の学習のモチベーションにもなることでしょう。

もう一つは,Newtonなどの科学雑誌を読んでみることです。
ほんとうはNatureやScienceなどでも良いのですが,それらは内容自体がかなり高度で私も正直すらすら読めるものではないので,とっつきやすい科学雑誌で良いと思います。    

たとえばNewtonだったら月刊誌もありますし,別冊と題したテーマ別のものもあります。
月刊誌のほうはいろいろな分野の内容が,研究者レベルでない人にもわかり易く示されているため,興味があれば定期購読してみるのもアリでしょう。
別冊のほうは,たとえば「iPS細胞」や「ヒッグス粒子」といったふうに,一つのテーマについてわかり易く述べられています。
Newtonの何よりの特色は,見やすい図表が多いということです。
図は基本的にオールカラーですし,文字も程よい大きさなので,読んでいて非常に楽しいです。
学術的な,詳しい内容に踏み込むにはこの別冊だけでは足りないでしょうが,入門書として,あるいは単に読み物としては大変優秀であると思います。
私も何冊か別冊を持っています。値段は結構高いのですが,興味があったらぜひ買ってみてください。
    

Newtonは,学術誌というよりも大衆向けの読み物という色が少々強い(特に別冊)ので,それで物足りない人は,先ほど述べたような本格的な学術誌を読んでみてはいかがでしょうか。
購読する必要はありませんから,自分が興味を持っている分野の論文が掲載されている号だけでも買って読んでみると,いい勉強になると思います。
「いい勉強になる」というのは,受験においても,東大入学後も役に立つ,ということです。
受験においても,今まで自分が勉強してきたことが実際の研究現場でどのように生きているのかを知ることができますし,そもそも最先端の話題・研究に触れることは,自分の知見を広める上で大きな助けとなります。
もしかしたらそういう雑誌等を読んでいるうちに,将来の夢が定まることもあるかもしれませんね。

将来研究者を目指そうと思っている人や,研究者ほどではなくとも科学に携わって生きていきたいと思っている人にとって,論文に触れておくのは非常に重要なことです。
科学者たちの論文を読めば,自分の考え・研究を他者に伝えるコツを学ぶことができますし,論文を執筆する際の細かいお作法(構成や文法など)も身に付きます。    

受験に役立たないから,といって受験勉強の世界の中だけで完結してしまうのはあまりに勿体ないです。せっかく勉強するなら,最先端の研究内容などを眺めつつ,楽しく学んでいきたいものです。

まとめ

大学入試にとどまらない発展的な勉強についてお話ししました。

大学での学びを知ることで,高校数学実世界・学問でどのように活用されているのか知ることができる。
学術ジャーナルや Newton などを読むのがおすすめ。
将来の夢が見つかるかもしれないし,自分のアイデアを他者に伝える際の勉強になる。

全体のまとめ

数学を学習する際の3つのステップについて解説しました。
改めてポイントをまとめます:

ステップ1(基礎) 最初は丸写しでも構わないので,最終的に自分一人で証明を与えられるように努力する。
ステップ2(入試レベル) 時間を計って本番同様に解くのも大事ですが,各問題の復習も欠かさない。
ステップ3(発展的学習) 入試の範囲だけにとらわれずに,最新の研究内容などに積極的に触れる。

これら3ステップを前から順番実行していくのが大切ですね。

特に欠かすことができないのはステップ1。
基礎的な問題を確実に解けるようにするというのが,やはり何より大切ですね!

マスゼミのオンライン指導では,定期的に東大生の数学指導を受けることができます。
学校の授業の内容をマスゼミで復習しておけば,定期試験はまずバッチリ。
さらに集中的に勉強すれば,全国模試などでもよい成績をおさめられます。
ぜひ私たちと一緒に勉強していきましょう!

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